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On  24  May  2013,  at  13:43,  Adrian Gonzalez wrote : 

 

こんにちは、ローザ!

 

君は僕のことを知らないだろうけど、僕は君を知っています。僕はモンフォルテの出身です。ブランカから君のメールアドレスを教えてもらいました。ちょっと気持ち悪いかもしれないけど、なぜ僕が君にメールをしたのか説明させてください。

 

僕は『バッファロー』という雑誌の編集をしています。1号目は2011年に出版されて、今は2号目の出版に向けて制作中で、来月には印刷に入る予定です。『バッファロー』は英語で書かれていて、スペイン以外にも、マージナル・プレスというディストリビューターを通じて主に日本に流通していて、他にロンドンやニューヨークなどにも流通しています。2号目では、ドミナント・レッグスやラリー・クラーク、トニー・ワードやレインコーツ、他にもあまり知られていないけどとてもカッコいいアーティストたちを取り上げています。

 

ここからが気持ち悪い部分です…。小さい頃、僕は君に魅了されていました。君の外見、服装、君からあふれ出る全てのものにインスパイアされていました。君が何年生まれかわからないのですが(僕は1981年生まれ)、多分君と僕はいくつか歳がはなれていると思います。今でも覚えているのが、僕が10歳の時、こっそり君のあとをつけていってランバードのあたりで迷子になり、そして絶対に行かなくてはならなかったピアノのレッスンを逃してしまったのです(笑)

今号の『バッファロー』では僕がインスパイアされた人たち、例えばクロエ・セヴィニーやコートニー・ラブなどを取り上げるのですが、ぜひ君のことも取り上げたいと思っています。なぜなら、君はリアルで、それらのディーバたちよりも僕に本当のインパクトを与えた人だからです。そして君はあの、全ての意味において小さな小さな街にいた。君は僕にとって希望の光だったんです。

 

ちなみに僕にはボーイフレンドがいて、女性に対して性的な興味はありません。このことが君を安心させる材料になれば良いのだけど。

僕のアイデアは、君についてのエッセーを書きたいと思っています。それは世界のどこかの街の人たちが幼い頃の君のフレッシュな想像力に感化されていく、おとぎ話のようなものです。そしてそれには君の写真も必要です。君のあの頃の写真、まだ持っていますか?ドクター・マーチンとネグリジェとトレンチコートを着ていた時の写真、それかニルヴァーナのTシャツと白いヴァレンチノのサングラス、アディダスのガゼル・シューズを履いていた時の写真、そして花柄のスカートでおばあちゃんスタイルの時の写真…etc。君のあの頃の写真が今すぐにでも見たいです!

 

もし君が参加してくれるのであれば、高解像度でスキャンした写真のデータを送ってください。そしたら僕が文章とあわせて編集します。いつものことなのですが、僕らは時間に追われていてあまり時間がないので、君が興味を持ってくれるのであればなるべく早めにデータを送ってくれると助かります。例えば、来週中くらいに。

 

Hugs,

A.

 

 

 

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From :  Rosa Rial

Subject : Rosa in Buffalo

Date : Sat, 25 May 2013   01:51:26 GMT +08:00

To :  Adrian Gonzalez

 

こんにちは、エイドリアン。

 

あなたは私があなたからのメールをどれだけ楽しんだか想像つかないでしょうね。あなたが私のあとをつけてきて迷子になったエピソードはとてもかわいいと思う。もしあの時の私がそのことを知ったら微笑んだに違いないわ。本当に素晴らしいことだと思う。あなたもわかっていると思うけど、あんな小さな街で他の誰とも違う願望を持って生きるということはとても難しいことだった。

 

私がずっとファッションデザイナーになりたいと思っていたということはみんな知っていた。ちなみに「ずっと」っていうのは、幼稚園の時からね。小さな頃、キッチンのテーブルで『Hola Alta Costura』(注:スペインのファッション雑誌)に出ていたイヴ・サン・ローランのスケッチをまねして描いていたことを今でもよく覚えてる。その雑誌は私に初めて世界への扉を開けてくれたの。その後はスペイン版『ELLE』や『VOGUE』を買っていて、16歳の時にはモンフォルテの書店でアメリカ版『VOGUE』を注文した。そして『THE FACE』はサンチアゴからバスで届けられてきた。もちろんその時はそういった雑誌を共有できる友達は誰ひとりとしていなくて、私はひどく孤独感を感じていた。不思議なことに、私はあの思春期の頃の写真を一枚も持っていないの。これは本当よ。何人か友達はいたけど、その子たちはガリアーノの才能について話せるような類いの子たちではなく、彼女たちから私に対しての褒め言葉は一度も聞いたことがなく、いつも言われていたのはどれだけ私が変わり者か、ってことだった。だから私はいつも自分に対してコンプレックスを感じて育って、ナルシスト的な性格はかけらもなかった。私は自分の子供時代と思春期を長い長い悪夢だと思っているような人たちの一人だった。でも大人になってからは幸せを感じられるようになって、今、私の人生はあの頃の埋め合わせをするかのように次第に幸せになってきている。

 

時折苦しいことがあったとしても、モンフォルテのような小さな街で育つということの明るい面は、それはそのことがあなたをハングリーで好奇心旺盛にすることがあり、大人になってからあなたがかつて願ったことへアクセス出来ることへの感謝の気持ちは尽きない、っていうことだと思う。

あなたに私の写真を送ることが出来なくて本当にごめんなさい。でも是非これからもあなたと連絡を取り合いたいと思うわ。

私のあとをつけてきていたあの頃、あなたは私にとって知らない存在であったけど、『THE FACE』について話すことが出来る友達が私の近くにいたんだ、っていうことに敬意を表して。

 

A big hug,

R.

 

 

*Translated from original text in BUFFALO ZINE issue #2. This is volume 2 and continued from volume 1 in the issue.

※これはBUFFALO ZINE issue #2のEDITOR'S LETTERの英語原文を日本語に翻訳したものです。これは後半で、前半から続いています。

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